2023年7月14日にプレコンサート・15日〜17日の3日間にわたり、RaiBoC Hall(さいたま市民会館おおみや)で〈第5回フォルテピアノ・アカデミーSACLA〉が開催されました。登場した楽器、期間中開催されたイベントなどについて報告します。
フォルテピアノ奏者小倉貴久子がプロデュースするフォルテピアノ・アカデミー!
〜フォルテピアノにどっぷり浸る4日間〜
昨年に続き、今回もゲスト講師に川口成彦さんをお迎えました。
レッスン、コンサート、レクチャー、ワークショップ、個人練習も充実!
会場:RaiBoC Hall. さいたま市民会館おおみや〔小ホール、リハーサルルーム、レクリエーションルーム、スタジオ1,2,3,6〕
昨年に続き、今回もゲスト講師に川口成彦さんを迎え、講師2人体制で行われた第5回フォルテピアノ・アカデミーSACLA。秋にポーランドで開催される「第2回ショパン国際ピリオド楽器コンクール」と関連して、今年はロマン派にも焦点を当て、ロマン派時代のフォルテピアノ、イギリス式アクションの〈プレイエル〉〈エラール〉〈スクエア・ピアノ〉、ウィーン式アクションの〈J.B.シュトライヒャー〉が登場しました。ショパン、シューマン、メンデルスゾーンなどのロマン派の作品と古典派を極めたいという18名を受講生に迎えました。
各日とも40名の聴講生を交え、小倉貴久子と川口成彦から当時の演奏習慣や語法などフォルテピアノならではのレッスンが展開されました。上記ロマン派時代のフォルテピアノに加え、タッチを極める鍵盤楽器〈クラヴィコード〉や古典派時代の〈ヴァルター〉や〈デュルケン〉を用いて多角的に学びました。
前日の夜に開催されたプレコンサートでは2台のフォルテピアノでショパンピアノコンチェルトを小倉貴久子と川口成彦が演奏。
アカデミーはオリエンテーションから始まり、さっそくレッスンがスタート。レクチャーとワークショップが挟まれ、イベントも充実!
フォルテピアノの魅力とともに夢の4日間をみなさんと一緒に過ごしました。
ムジカノーヴァ9月号に受講体験記が掲載!
受講生で参加くださった多田純一さんによる会期4日間の受講体験記が3ページにわたりムジカノーヴァ9月号に掲載されました!
第5回フォルテピアノ・アカデミーSACLAには総計9台の鍵盤楽器が集いました。レッスンの行われたリハーサルルームにはプレイエル、ヴァルター、クラヴィコード。レクリエーションルームにはシュトライヒャーとヴァルター。4部屋用意されたスタジオには、エラール、デュルケン、スクエアピアノ、クラヴィコードがおのおの配置されました。
アカデミー・レッスン受講生はこれらの楽器でレッスンを受け、練習もできました。聴講をお申し込みの方には〈体験ワークショプ〉を用意しました!またプレコンサートにはプレイエルとシュトライヒャーが登場しました。
Ignace Pleyel(パリ 1848年)
「気分がよく体力のあるときは、自分自身の想い望む音の出るプレイエルのピアノを弾く」。ショパンの言葉です。
ショパンは、パリでのデビューリサイタルをプレイエルのピアノで行い成功を収め、その後、生涯プレイエルのピアノを愛奏しました。カミーユ・プレイエルとは私的にも親しく、連弾を共に楽しんだと伝えられています。このプレイエル・ピアノは、1848年頃製作された、ショパンが最後のコンサートで演奏したピアノと同一のモデルです。(C1〜a4:6オクターブ半)
Erard(パリ 1840年頃)
ピアノづくりに並外れた才能をもつセバスティアン・エラールを創始者にもつ。
フランス革命後にはロンドンにも支社を開き工場をフル回転。国際的な名声と生産台数を誇るようになります。
エラールの偉大な発明は数多いですが、連打を容易にすることを可能にした「ダブル・エスケープメント」は現代ピアノのアクションの基礎となっています。
強固なつくりによる安定感は、ショパン、リストをはじめ多くの作曲家に愛されました。(C1〜g4:6オクターブ半)
Johann Baptist Streicher(ウィーン 1845年)
シュタイン及びシュトライヒャーの家系は当時のドイツ系の作曲家から絶大な信頼を寄せられていた。他の国のメーカーからも一目置かれる存在で、その証にこの写真の楽器の鍵盤表面板に、双頭の鷲、1835年と1839年にオーストリア皇室から金メダルを受賞したことが金文字で描かれている。1845年製のこのシュトライヒャーは、ウィーン式アクション最期の栄華の中で製作されたものである。(C1〜g4:6オクターブ半)
J.Broadwood & sons 製作のスクエアピアノ1814年製 F1~c4(太田垣 至修復 2012年)
イギリスを代表する製作家。ハイドン、ベートーヴェン、クレメンティ、ショパンなどに愛用された。スクエアピアノは19世紀初頭のフォルテピアノ普及に大きく貢献。(FF~c4 :5オクターブ半)
Anton Walter(1795年製の復元楽器 C.マーネ製作)F1~g3 2台
ウィーン式(跳ね上げ式)アクションのフォルテピアノ
ウィーン古典派の作曲家モーツァルトやベートーヴェンに支持されたフォルテピアノ。膝レバーによるダンパー解放装置と、弦とハンマーの間に薄い布を挟み込み音色を変化させるモデラートが付いている。ハンマーヘッドは鹿革で、鉄弦と真鍮弦(低音域)が木製のケースに弱い張力で張られている。軽いタッチ、明快な発音、倍音の豊かな音色が魅力。(FF~g3 :5オクターブ )
Johan Lodewijk Dulcken(1795年製の復元楽器 太田垣 至製作)5オクターブ
ウィーン式(跳ね上げ式)アクションのフォルテピアノ
ウィーン古典派の巨匠モーツァルトやベートーヴェンに支持されたフォルテピアノ。膝レバーによるダンパー解放装置と、弦とハンマーの間に薄い布を挟み込み音色を変化させるモデラートが付いている。ハンマーヘッドは鹿革で、鉄弦と真鍮弦(低音域)が木製のケースに弱い張力で張られている。軽いタッチ、明快な発音、倍音の豊かな音色が魅力。 (FF~g3 :5オクターブ )
J.H.Silbermann(1775年製の復元楽器 太田垣 至製作)
Ch.G.Hubert(1770年代製の復元楽器 深町 研太製作)F1~f3
キーの後端についているタンジェント(真鍮片)が弦をたたいて音を出し、キーを押している間は弦を押し上げたままになるので、ヴィブラート(ベーブング)をかけることができる。絶対音量は小さいが、表現力の豊かな楽器。繊細なニュアンスを生む良いタッチ習得にも最適。(FF~f3 :5オクターブ )
会期中に一般の方に開かれたプレコンサートと、最終日には受講生コンサートが催されました。
また、受講生・聴講生を対象に、各講師によるレクチャーと、ピアノ製作・修復家の太田垣至のワークショップ。そして聴講生を対象にした試弾コーナーのあるワークショップが開催されました。
第5回フォルテピアノ・アカデミーSACLA プレコンサート
2台のフォルテピアノによるショパンピアノコンチェルト
〜ショパンが愛したウィーンの楽器J.B.シュトライヒャーとパリで愛奏したプレイエルの美しい響きで〜
2023年7月14日(金)18:30開演*終了しました。
RaiBoC Hall.(さいたま市民会館おおみや)小ホール
入場料:3,500円
使用楽器:プレイエル、J.B.シュトライヒャー
【プログラム】
F.ショパン
ロンド ハ長調 作品73(2台ピアノ版)
ピアノコンチェルト 第1番 ホ短調 作品11/小倉貴久子(オーケストラパート 川口成彦)
ピアノコンチェルト 第2番 へ短調 作品21/川口成彦(オーケストラパート 小倉貴久子)
2023年7月15日(土)13:00〜14:00 リハーサルルーム*終了しました。
〜アーティキュレーションやアゴーギクを施しながらも、自然なフレージングでモーツァルトを演奏する極意について〜 ヴァルター使用
2023年7月16日(日)13:00〜14:00 リハーサルルーム*終了しました。
「歴史的鍵盤楽器の基本」〜フォルテピアノをより深く知るために〜
フォルテピアノ製作・修復家の太田垣 至による、楽器の構造、歴史、調律、調整など製作者サイドからの視点による講座
2023年7月15日(土)19:00〜20:30/7月16日(日)17:15〜18:45 リハーサルルーム/レクリエーションルーム*終了しました。
〜小倉貴久子と川口成彦からフォルテピアノのタッチについてアドヴァイスを受けながら〜
クラヴィコード、ヴァルター、J.B.シュトライヒャー、プレイエル使用(ふたつの部屋に分かれての開催)
2023年7月17日(月)17:10〜17:50/18:00〜18:45 スタジオ1/スタジオ3*終了しました。
〜毛利美智子・井口るな によるミニコンサートと、フォルテピアノ体験コーナー〜
エラール(毛利)、スクエアピアノ(井口)使用(ふたつの部屋に分かれての開催)
2023年7月17日(月)17:15〜19:40 リハーサルルーム*終了しました。
18人の受講生による成果を発表する、受講生コンサート
主催:メヌエット・デア・フリューゲル
Eメール mdf-ks@piano.zaq.jp
共催:Ohtagakki Fortepiano、公益財団法人 さいたま市文化振興事業団
協力:久保田チェンバロ工房、新井千笑、原クラヴィーア工房
あなたもジンドゥーで無料ホームページを。 無料新規登録は https://jp.jimdo.com から